2020年6月15日にAmazonで衝動買いした3Dプリンター、Elegoo Mars。きょうはそのお話。
かなり前に、世界の個人向けものづくり工房FabLabの世界大会、Fab9が横浜で開催されたときに関わったことがあって、それ以来ずっとデジタルファブリケーションに興味があったのだけど、光造形タイプ(※)のものが3万円を切る価格で出ていると聞いて、つい手を出してしまったにゃん、という顛末でございます。
※紫外線でUVレジンを硬化させて3Dを出力するタイプの3Dプリンター。他に熱溶解積層型(熱で溶かしたにゅるにゅるな素材を積み重ねて造形するタイプ)とか粉末焼結積層造形(レーザーで素材の粉末を焼いて固めて形を作っていくタイプ)とかいろいろあるんですが全部は知らねえ(´ω`)
というわけでまずはとにかくたくさん出力して、3Dプリンターというもの自体に慣れなくては…と、箱から出して3日目位なのですが、なんせ初めてなので、よいこともある、わるいこともある、という感じで試行錯誤しながら進めている次第で、その試行錯誤の記録を書いていこうではないかという連載な記事の一発目でございます。この記事は。
舶来品あるあるの、英文でざっくりしたマニュアルを見て組んではみたものの、一抹の不安が拭いきれない私め。インターネッツでレッツ検索でございます。
参考にしたのはこのへんの記事。(ありがとうございます)
http://home3ddo.blog.jp/episode02-ELEGOO-MARS-chitubox【追記あり】ELEGOO MARS(マーズ) 開封レビュー / 3Dプリンター
光造形3Dプリンタ用スライサーソフトChiTuBoxの使い方をご紹介
入門編は上記リンクを見ていただけるととてもわかりやすいのですが、それ以外で僕が経験したことなど、以下。
とりあえず出力する3Dデータはどこぞ?
このへんは、ざっくりした記憶を頼りに、たしかThingiverseとかっていうサイトに3Dモデルがあるはずだぞいと思い出し、同サイトにアクセス、とりあえず“Gundam”と検索します。
というわけで、検索して出てきたこちらを出力してみることに。
https://www.thingiverse.com/thing:2468268逆シャアより、敵のボスキャラ(ガノタから怒られる表現)サザビーです。私的利用の範囲内でとりあえずやってみます。どうやらElegooが提供しているChituboxというアプリをパソコンにインストールしてやれば刷れるらしいと、とのことで、そのように。
https://www.chitubox.com/で、落として開いて、テキトーに保存して、USBでプリンターに刺してデータを移してやればおk、レッツラゴー。
…とは、行きませんでした。
stlって? スライスって? サポート材って?
上記、レビューとか初期設定のリンクをよく読むとわかるのですが、紹介しておきながらよく読まないワタクシ、いきなりこの辺からつまづいていきます。
ワイ「とりあえずSTLってやつが3Dデータやからそれをプリンターに移せば出力できるやろーはいポイー」
プリンター「アホーこんなん読めるかーm_400メモリーエラーや半年ROMれや」
ワイ「つらい」
エラー上は、USBメモリーがおかしい的な文面だったので、まずはメモリーを疑う私。とりあえずUSBメモリーを変えて再トライです。
プ「m_400(ry」
ワイ「?????」
すわプリンターの初期不良か、はたまた私の人格が否定されているのか(被害妄想)と、泣きながら(泣いてはいない)いろいろ調べていると、
神「Chituboxでラフト(底面)とサポート材の設定をしてスライスするのじゃ」
ワイ「神、マジ神」
ということで、ダウンロードしたSTL形式のファイルに、「ラフト」という一番底面の土台のような物体を設置、そこからプラモデルのランナー(枠)のような、サポート材という枝のようなものを生やして、3Dプリンターさんが出力できるように輪切りにしたデータを用意して初めて、出力ができるということなのでした。全然知らなかった。無知の知。
なお、ラフトとサポート材はChituboxさんが3Dデータを読み込んで自動でつけてくれます。天才か。
てなわけでとりあえず上記の設定をして「スライス」を実行。少し待つと完了のお知らせが表示され、保存できるようになります。出力用ファイルの拡張子は“stl”ではなく、“.cbddlp”。
いざ出力。結果はいかに…
ワイ「喰らえ、cbddlp! これでどうや?」
プ「おkやで4時間待ってな」
ヤター!!! 動いた! こいつ動くぞ! ってなわけで、待つこと4時間少々。
プ「できたで(ポイー」
お気づきだろうか。このサザビー、手がないことを。
(´ω`)キャー
ってなわけで、再度データを確認しつつGoogleで検索。出力前のデータ上は手のデータもきちんとある。すわ心霊写真か…?? そしてある表記を発見。
神「出力データは、下から見た頂点にサポートがないと出力されないことが多いのじゃ」
ワイ「なるほどどれどれ…あっ、手の先にサポート材がついてない!!」
最初ということで、全自動でサポート材をつける設定にしたところ、ひざ下の広がった部分に遮られて、本来あるべき腕先へのサポート材が作られてなかったということらしい。ふむーん。難しいわね。
手動でサポート材を設置
そんなこんなでさらに調べをすすめると、Chitubox上で手動でもサポート材が設置できるらしい。…って、このへん全然スクリーンショット撮ってなくて文章だけじゃわかりにくいよね、ごめんね、わかっているんだ。すまない。
てなわけで、なんしか、上の画像のように、腕先からサポート材を生やしてみたのですわ。とはいっても難しいことはなく、手の先あたりで「サポート材を追加」を選んでポチポチ押したら枝状のものが自動でにょきにょき生えて、それだけで設置できまして、とにかくお手軽でした。
で、成功して完成したサザビーがこの記事のサムネであります
てなわけで最初に載せたこちらの画像が、成功して完成したブツになります。出来上がり自体は、頭の細いアンテナ部分もしっかりと出力されており、光造形3Dプリンター、噂に違わぬウデマエ…という感じで、大変に満足しています。出力品は黄ばんだ透明ですが、元素材のレジンの状態がよければより透明に近い感じで出来るみたいです。
その他の注意点、気づいたことなど
以下は上記のプロセス以外で気づいたことメモです。
1. 臭いがけっこうキツイので苦手な人はつらいかも
元素材のレジンも、出力品を洗浄する薬品(イソプロピルアルコール/IPA)も、かなりの臭いがあります。僕自身はプラモ製作で臭いのある液体には耐性があるのですが、気になる人にはつらみが深そうなので作業中の換気やマスク着用は必須です。
2. 意外と液体に触る機会が多いゾ
出力されたままの状態では、出力品に液体のレジンがべったりついています。これをアルコール洗浄するのですが、素手で作業するとなんやかや液体レジンやアルコールを触ってしまう機会が多いです。
レジンはアレルギー反応がある人もいるらしく(私はまだなっていない)、たぶん手袋をして作業したほうがいいんじゃないかなあと思ったり、思わなかったり、ラジバンダリ。
3. 成功すると感動が大きいが、初心者はかなりの試行回数が必要
成功した完成品は本当に素晴らしいです。ただ、今回の例のサザビーは、結局3体目での成功となりました。
たぶん慣れるまでは失敗しまくる…というか、サザビーのあとに出力している大物で、現在進行形で失敗しまくっているので、最初は相対的にコストをかけずに上達するために、安いレジンでたくさん出力したほうがいいんじゃないかなあと個人的に思います。
4. 元となる3Dモデリングの学習において、3Dプリンターの存在は大きなモチベーションになる
アホなのでガンプラを作りながらよくパーツをなくすんですが、3Dプリンターが手元にあることで「とりあえず3Dで作ってみるか…!」となりやすいです。
前々から3DモデリングソフトのFusion 360をインストールしたまま学習せずにここまで来たのですが、「出力する」というゴールが出来るぶん、学習へのモチベーションが高まります。上記はガンダムのヘッドパーツ(なくした)を勘でモデリングして出力したらなんとなくうまく行った例。
5. 手に入れてみると、使いみちは案外思いつく
入手前は「3Dプリンター、買ったところで何を作るのか?」と半信半疑だったのですが、上記のプラモの紛失パーツとか、Thingiverseに上がっている面白いモノとか、手に入れてみると「〇〇を出力してみよう」と思いつくものだなあと、手に入れてみて思います。
きっと3Dモデリングの技術が上がると、よりその考えが深まるのではと思っています。私はこれまでWebとか印刷物とかの平面のデザインを仕事にしてきて、既製のプラモを趣味のひとつとしているのですが、ゼロベースで思いついたものが立体として出力されるというのは、言葉どおり次元が広がった思いがして、これからできそうなことがぐっと増えたように感じます。ものづくりを趣味や仕事にしている人は、同じ感想を抱くのではないでしょうか。知らんけど。
まとめ
まだ数日程度の経験値ですが、ひとことでまとめるなら、
「3Dプリンターはいいぞ」
てな感じです。これからも、どんどん失敗してうまくなろうと思っています。次回の3Dプリンター記事は、現在進行形で絶賛失敗中の「3Dモデルが壊れてる!? 木馬編」をお届けしたいと思います。
それでは今日は、このへんで。