てなわけで続行

【前回までのあらすじ】
ある夜、ものすごい音と光に目を覚ました403。
あまりのすごさに窓の外をみると、
そこでは見たこともないような多くの機械と屈強な男たちによって、
驚くべき事が繰り広げられていた。
「なんだかわかんねえけど、すっげえワクワクすっぞ」
そう思い、家を飛び出した403が見たものとは…


– – – – – – –

「たとえば、家の前に歩道橋があったとしよう。」
その妙齢の男は、長い人差し指をピンと伸ばして言った。
「なあに、一体。」
向かいには物憂げに髪の毛をいじる若い女性。

「物心ついたときからずっとそこにあった、そんな歩道橋さ。
その歩道橋がふと窓を開けた時に跡形もなく消え去っていたら、
一体どんな気持ちがすると思う?」

女は男のほうを横目で見やりながら、
「そんなこと、わからないわ。
私の育った家の前には歩道橋どころか、まともな道路だってなかったんだもの。」
と、目の前のカップを口にする。
中のコーヒーは、もうすっかり冷めてしまっていた。

「歩道橋以外は日常と何も変わらないんだ。
でも歩道橋があるかないか、ただそれだけの事で周りの風景ががらりと変わって見える。
…不思議だと思わないかい?
 正にそんな事が、昨日あったんだ。」

「…あなたっていつもそう。オチも何もない、他愛もない話ばっかり。退屈だわ」

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